作レレ

パーチメントクラフト

ルネサンスギターのサウンドホールに取り付けるロゼッタの飾り部分をチマチマと作っていました。

古楽器のロゼッタには様々な作り方があって、表板に直接細かな模様を彫りこんでいくこともあれば、別途独立した薄板に模様を彫りこんで裏から貼ることもあれば、羊皮紙に模様を彫りこんで貼ることもあります。それらの取り合わせもあります。

私の場合は、独立したヒノキの薄板に模様に彫りこんで、その裏から別模様に切り込みを入れた羊皮紙を合わせて取り付けています。ギターに付けるとこんなふうになります。写真奥のやつです。

羊皮紙を使うクラフトをパーチメントクラフトと言います。パーチメントとは羊皮紙の意味の英語です。羊皮紙は独特の質感があって、適度の硬さと柔らかさがあり、立体的な味わいが出せます。雰囲気にどことなく透明感があり、高級感があり、何百年ももつほどの耐久性があります。パーチメントという英語には、卒業証書という意味もあるそうなのですが、つまりそういう記念すべき大事なことを保存するのにぴったりの雰囲気と機能性があるわけです。古楽器のロゼッタに羊皮紙を使いたくなるのもむべなるかなという感じです。

ちなみに羊皮紙とは、羊またはヤギなどの皮を薄く剥いで紙にしたものです。羊皮紙は市販されていることがほとんどないのですが、日本でも羊皮紙を作っている人がいて、それなりのお値段で取り寄せることができます。こういう好きなことをしている人が世の中にいてくれるのはありがたいことです。そういう人がいてくれるおかげで、面白いことがつながって、私もルネサンスギターを作ることができます。面白いことが沢山つながってくっついて生まれてくるものは、きっと楽しいエネルギーを宿していることでしょう。