あれこれいろいろ

お囃子という音楽

日本の音楽は、「お囃子」と呼ばれるものが多いですね。

辞書には、 お囃子の意味として、「能・狂言・歌舞伎・長唄・寄席演芸など各種の芸能で、拍子をとり、または気分を出すために奏する音楽。主に打楽器と管楽器とを用いるが、芸能によって唄や三味線が加わることもある。」と書いてあります。この定義は、芸能のことしか入っていませんが、祭り囃子など、暮らしの中の音楽にも、お囃子は浸透しています。

この囃子という言葉は、「映やす」「栄やす」という言葉と語源が同じで、他者を引き立てる、見栄えをよくする、というのが元々の意味だそうです。

「囃し立てる」という言葉は、現代では、人を冷やかして恥ずかしい思いをさせたりばかにしたり、というマイナスのニュアンスを含んで使われることがありますが、本当は、囃す相手を輝かせるためにやるのが、囃す行為なわけです。

こういう「他者を輝かせるため」という概念が、日本の音楽体系のメインストリームにあるというのは、誇らしく思ってもよいかもしれません。

最近、「ばえる」という言葉が良く使われるのは、「映える」「栄える」という輝いた状態に対する感性が、今なお日本人の心にあるということで、その輝いた「栄え」「映え」の状態を音で演出しようとしたのが「お囃子」という音楽なのでしょう。自分が輝くこと以上に、他者を輝かせることに意識がある音楽、とも言えるのかもしれません。

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