あれこれいろいろ

農具は楽器だ という音楽

農具は楽器だ! というコンセプトで、岡淳さんという方が中心になって、様々な農具を使った音楽活動をしておられます。水車が回る音から着想を得て、様々な回転系農具へ広がり、さらに回転系でない民具も含めて、多彩な音作りをされています。

水車のごっとんごっとんとか、しじまに響く小夜砧とか、現代日本人は聞いたことがないはずなのに、目をつぶれば確かにその音が聞こえる気がする…、そんな日本人の原風景がありますが、農具から出る音とリズムは日本人の音楽感性の根っこにあるように思われます。同時に、複数の回転系農具が絡み合ってリズムがずれながら数分に一回ぴったり合うというようなリズム感は、極めて前衛的でありつつ、アフリカのポリリズムとかアラブ音楽の極めて微細な旋律の動きなど、世界の古い音楽に通じるようでもあり、日本と世界、古代と現代が融け合うような印象もあります。

下の動画には、絹糸を作る機械の「座繰り」、籾殻を飛ばす道具の「唐箕」、橇などが出てきます。

日本の農具から出るリズムがあるように、砂漠民の道具の音とか、遊牧民の道具の音とか、都市住民の道具の音(ページをめくる音、キーボードを打つ音、冷蔵庫の音、扇風機、遮断機、学校のチャイム…)とか、時代と風土に根ざした様々な道具のリズムと響きがあって、それらが今も世界中で鳴り響いて絡みあっていると思うと、地球というひとつの回転系楽器も思われてきます。