下の動画は、エミー賞ドラマ「将軍」の音楽チームで邦楽を担当した石田多朗氏による深いお話。全体に渡って興味深い話なのですが、今の私が特に取り上げたいのは、導入部分の雅楽に出会ったときに感じたことの部分。☟
石田氏は、30才までにクラシック音楽や電子音楽や民族音楽を学んで音楽の全体像をわかったと思っていたときに雅楽と出会い、「それまで学んでいた音楽の並行世界があるかのよう」、「まだこんな広大な世界があることにワクワクを覚えた」と感じたそうです。「並行世界があるかのよう」「こんな広大な世界があることにワクワクを覚えた」というのは、私が様々な地域時代の音楽・楽器の話を書いているときの気持ちを代弁してくれているかのようで、探していた言葉を見つけた気分です。
西洋ルネサンス時代の古楽も、アラブの音楽も、コーカサスの合唱も、江戸小唄も、インドネシアのガムランも、ハワイアンも、世界のどの地域のどの時代の音楽を取り上げても、それに興味を持って訪ねていくと広大な並行世界が広がるように思えるのです。様々な音楽があることを知れば知るほど、地球には何てたくさんの並行世界が過去現在未来に展開しているんだろうと、びっくりしてワクワクします。
私達が当たり前と思っていた音楽観は、ともすれば近代以降の西洋音楽から派生したひとつの世界に閉じ込められがちで、石田氏も「雅楽を聞いても最初は良さがわからなかった」と言っていますが、好意的な関心を持って訪ねていかない限り、聞こえていても聴こえないということになるようです。
この地球上に展開した様々な音楽の存在のことを知り、関心を持って訪ねていけば、広大な音楽世界の扉が開かれて、自然に招き入れられるように思います。
このブログではAI音楽のことも時々取り上げていますが、それは、無数の並行世界を生成し展開させていくのがAIの得意分野で、地球の過去現在未来の膨大な音楽データに対する大きな扉になる可能性があるように思えるからです。
最後に石田氏の音楽をいくつか。洋邦の音楽と楽器が、それぞれ独自性を保ちながら混ざり行くようです。