あれこれいろいろ

バルト海付近に広がるカンテレの仲間たち

フィンランドの民族楽器カンテレと同系の楽器がフィンランド周辺国(リトアニア、ラトビア、エストニア、ロシア)にあり、国によって微妙に形や調弦や呼び名が違ったりしますが、基本的には同じ楽器と言ってよさそうです。ちなみに、リトアニア語とラトビア語はバルト語族、フィンランドとエストニア語はバルト・フイン語族だとか。

【ラトビア コクル又はクアクレ(kokle、kuokule) 】

ラトビアでは、クアクレはラトビアの魂とアイデンティティーを象徴する楽器とされているそうで、ラトビアコイン(1ラッツ硬貨)のデザインにもなっています。

 

【リトアニア カンクレス( Kanklės)】

カンクレスは、リトアニアの夜明けや日没時、暗闇と光が入れ替わる神聖な時間に演奏されたと言われています。また、踊りのためや、結婚式の祝祭の伴奏に使われたとも言われています。

【エストニア カンネル又はカネル(kannel)】

カンネルはエストニアの国のシンボルであり、エストニアの歌の神ヴァネムイネによって演奏されたと言われています。エストニアの国民的叙事詩カレヴィポエグ(Kalevipoeg) は、Laena mulle kannelt、Vanemuine! (ヴァネムイネ、あなたのカンネルを貸してくれ!)から始まります。…ヴァネムイネは、フィンランドの叙事詩カレワラの偉大な歌い手ヴァイナモイネンと同じ神なのでしょう)

エストニアのペツェリ郡の紋章に描かれたカネル

エストニア南東の町タルバストゥの衣装でカンネルを弾く人の切手

 

【ロシア グースリ(gusli)】

キエフ・ルーシの時代には、グスリという言葉は弦楽器全体を指していて、語源は「風になびく音を出す」という意味で、ロシアの音楽文化で重要な役割を果たした楽器だそうです。物語の歌い手(ボヤン)が使ったり、放浪のミュージシャン・エンターテイナー(スコモロフ)が使ったりしたそうです。冒頭の絵は、グスリの音楽家の絵。