あれこれいろいろ

AI時代の音楽 身体性の音楽

2025年の幕開けです。明けましておめでとうございます。

昨年あたりから本格的に始まったAIの進化が進んで、今年以降、AIがあらゆる面で人間の能力を超えてくる新時代に入ってくると、音楽の世界もぐっと様変わりしていくことでしょう。

AIが人間のできることを全部奪っていきそうな勢いですが、しかし人間にはAIが持たない身体というものがあります。ひとりひとりが少しずつ異なる身体感覚をもって世界に散らばり、多様な環境で多様な身体感覚を得て多様な解釈を加え多様な反応をするという、身体性に根差した多様性は、AIにも手が届かない分野のように思われます。そのような個人の多様な身体感覚とAIとの間の情報循環がなければ、人間もAIも完結しない世界になりそうな予感です。

現代音楽は、20Hzから20kHzまでの可聴域だけで成立するようになっていますが、民族音楽や古い時代の音楽は、楽器にしても歌声にしても、20kHzを超えて100kHzくらいまでの超高周波をふんだんに含んで、人はそれを耳ばかりでなく身体で感知して反応しているというハイパーソニック・エフェクトの話を昨年末に書きましたが、こういう身体で感じる音楽は、AI時代の音楽として重要性を増していきそうです。

また、体を使う音楽体験、たとえば実際に歌うこと、実際に楽器に触れて演奏すること、体を運んで集まって合奏や合唱をすること、音楽に合わせて踊ったり体を動かすこと、会場で実際に響きを体感すること、みんなでリズムを共有することなど、体を使って体験する音楽がAI時代の音楽として重要になりそうに思います。

上手さを競うこと以上に、ひとりひとりが体でどう感じるかが重視される世界、そんなイメージが思い浮かびます。

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