ルネサンスギター

ガットフレットの二重巻き ダブルフレットとシングルフレット

現代ではギターのフレットには金属を使いますが、ルネサンス時代やバロック時代の楽器(ルネサンスギター、バロックギター、リュート、ビオラ・ダ・ガンバ等)では、ガット弦をネックに巻き付けてフレットにしていました。ガットフレットです。

そのガットフレットの巻き付け方には、一回だけ巻くシングルフレットと、二重回しにするダブルフレットが伝統的にあるのですが、一般にはシングルフレットにしている人が多いと思います。なにしろガットはそのへんのスーパーにもヤフーにもなくて貴重なので短くて済むのはありがたいのです。

しかし、最近、丸二テグス株式会社の「魚紋」という釣り糸が、硬さといい摩擦といい、ガットフレットの代用素材として実に良いことを知り、それだと100メートル単位で売っているので、ガットの節約から解放されます。(この魚紋は摩擦の程度が絶妙で、最近はヴァイオリンの弦としても遜色のない音がするということで、常備する人が急増中なのだそうです。)

さて、ここから本題。その魚紋を使用して、シングルフレットとダブルフレットの使用感を比較してみました。

一般によく言われるのが、ダブルフレットにすると、かすかに「さわり」音が出て、味わいのある音になるというのですが、魚紋でやった限りでは、音の変化はほとんど感じられませんでした。さわりというのは、一種のビビリ音で、インドのシタール、日本の三味線、薩摩琵琶、筑前琵琶などにある、あのビヨヨーンという感じの不思議な響きです。これらの楽器には、さわりを生むための仕組みが独立に設けられています。シタールのビヨヨーンの動画↓

ダブルフレットにしてみて変化が感じられたことは二点。

一点目は、フレットがずれにくくなり、安定感が増したこと。特にネック基部あたりの傾斜が変化する付近ではフレットがいつの間にかずれてしまうことが起こりがちでしたが、この部位でも以前よりずれにくくなったと思います。

二点目は、弦をおさえる左手の力が、以前より弱い力でも安定して押さえやすくなった感覚があることです。弦がフレットに触れる面積が広くなったことからくる印象の問題にすぎないのかもしれませんが、少し弾きやすいという感覚が得られるのはメリットだと思いました。

今後、継続的使用で気が付いたことが出てきたら、また報告します。