これはベネズエラのクアトロという小型の四弦楽器。
クアトロとはスペイン語で「4」という意味で、弦数をそのまま楽器名としています。ですが複弦バージョンもあるそうで、そうすると4コース8弦のルネサンスギターと瓜二つということになります。
クアトロの起源は明確でないですが、英語のウイキペディアには、スペインのビウエラ、ポルトガルのカヴァキーニョが前身と書かれ、日本語のウイキペディアには、カナリア諸島のティンプレが起源と書かれ、フランス語のウイキペディアでは、バロックギターやカヴァキーニョとの関連が示されつつ、Fredy Reyna(ベネズエラの演奏家で音楽学者、上の白黒動画の演奏者)が提唱するルネサンス期スペイン4弦ギターguiterne(ギテルネ)起源説も紹介されるなど、錯綜しています。
楽器の進化発展は、多様な影響を楽器相互に与え合って一筋でない上に、楽器名が地域や時代で異なって同音異義あるいは同義異語がたくさん入り組むので、調べるほどに謎が深まるのです。
というわけではっきりしないことが多いですが、上のクアトロの動画と次のルネサンスギターの動画を比べると、やっぱりクアトロとルネサンスギターは似てるなあと思うので、ルネサンスギターとの繋がりもあり得そうです。
楽器の流れはひと筋でなく、様々入り組んで変化していくので、いろん起源説が実はみんなある程度真実という可能性もあります。そうすると楽器の起源が明確でないというのが一番明確な答えという言い方も、案外楽器の変化の本質を言い当てているようにも思います。