昨日はルネサンスギターを作る参考のために、ルネサンスギターの次の時代に来るバロックギターを研究しようと思い、古楽器奏者の岩田耕作さんのお宅を訪問してきました。岩田さんとは二時間くらい楽器や音楽のことについていろんな話の花が咲き、楽しく充実した時間でした。
上の写真はバロックギターのロゼッタです。すごいですね。バロック期はギターの装飾性が一番高い時代です。現代のサウンドホール回りに模様が取り囲むだけのとは違って、ホールの中を立体的な飾りが埋め尽くします。このホールの中に何層にもある立体的な飾りの様式をツリーというようです。素材は羊皮紙です。羊皮紙というのは、羊あるいは牛の皮を薄くしたもので、昔はこれを紙として使っていたのです。
バロック期のギターは、宮廷、貴族、王室などで愛好されていたものなので、とにかくいたるところが装飾性でいっぱいです。そして、ルネサンスギターよりもずっと大きくなり、弦の数も増えて、重さもぐっと重くなります。このバロックギターが、その後の市民革命を経て19世紀ギターへとつながり、現代のギターにつながっていきます。現代ギターはバロックギターのような装飾性は失われていきますが、ギターの大きさや音の大きさなどの感覚は受けつがれているように思います。
ルネサンスギターをうんと派手にして大きく重くしていく方向がバロックギターから現代ギターの流れなら、ルネサンスギターをもっと素朴にして簡素していく流れがマシェーテからウクレレへという流れのように思えます。ウクレレとバロックギターは、ルネサンスギターから逆方向に枝分かれしていったもののように思えるのですが、この逆方向であるからこそ、バロックギターの研究はウクレレを考えるときに多くの示唆に富んで興味が尽きないのです。