むかしむかしあるところに、棒の両端に弦を留めて指でビンビン鳴らした人がおった。これが、弦楽器のはじめとなった。
なんでも古事記という本にも、天照大神を岩屋から引き出すときに6張りの弓を並べて鳴らしたと書いてあって、これが日本の和琴の起源と言われているんだそうな。
あるとき、この弦を張っただけの棒に、薄板(響板)をくっ付けて弦と板をつなぐ工夫をした人がおった。すると、弦の線振動(一次元)が板の面振動(二次元)に変換されて、空気を揺らす面積が広がった分、なんと音が大きくなった。と同時に音波に板のキャラが乗って、高音領域のクリアな立ち上がりと、暖かみのある柔らかい音が生まれてきた。これは、材木の微細な振動と、板の縦方向(繊維方向)の硬さによる振動伝達速度の上昇、横方向の柔らかさによる耳障りな高周波の吸収によって引き起こされたものであった。
その後あるとき、今度は板の裏に横板と裏板を付けて箱型にするという工夫をした人がおった。すると、板の面振動(二次元)が箱の立体振動(三次元)に変換されて容積が増えた分、音がさらに大きくなった。そして、箱の中を音波が反射を繰りかえすことによって、音に深みと奥行きが生まれた。
またあるとき、今度は箱の表面に穴を開けた人がおった。すると、箱の中の空気がひとかたまりのバネのような動きをして、バネの力で箱の中から低音部が押し出されてきた。これは専門用語でヘルムホルツ共鳴というそうな。この共鳴のおかげで、大きくて深い低音部が響きわたるようになった。
その後、いろんな人がいろんな工夫をして、棒に指板を貼り付けて指で音階を作れるようにしたり、響板の裏に棒(ブレイス)を張りめぐらして響板の響き方をいろいろ調整したりした。
こうして、ギターやウクレレのような形の弦楽器が進化して、みんなが弦を鳴らして楽しんで幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし
