1620年、英国国教会の改革を求めるピューリタン(清教徒)の中の会衆派と呼ばれる人たちが、英国王の弾圧から逃れてメイフラワー号に乗り、大西洋を渡って北米のプリマスに上陸しました。これが北米大陸への西欧からの最初の移民、ピルグリム・ファーザーズです。ピルグリム・ファーザーズとともに、西欧世界の宗教と文化がはじめて北米大陸にもたらされたわけですが、その中には当然音楽も入っていました。
では、北米大陸に最初に鳴り響いた西欧の音楽とは何だったのでしょうか。
ピルグリム・ファーザーズたちは、「エインズワース詩編歌」を持参していました。これは、ピューリタン会衆派の指導者の一人ヘンリー・エインズワース(Henry Ainsworth)が、「英語の散文と韻文による詩編」(1612年)に旋律を付けてオランダで出版したもので、これが北米大陸でピルグリム・ファーザーズたちが最初に歌った讃美歌なのです。
あちこち探してエインズワース詩編歌の動画で唯一見つけたのがこちら。エインズワース詩編歌から詩編137番です。
なかなか味わいがあります。ピルグリム・ファーザーズの当時は、こんなに分厚い器楽伴奏ではなく、ただ素朴な合唱だったかもしれません。
「America Sings」というCDシリーズの第一巻「設立期(1620-1800)」の中に、エインズワース詩編歌から16曲が収録されているそうです。
参考 キリスト教音楽の歴史 川端純四郎著