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ラッセルの感情円環モデルと音楽

ジェームズ・A・ラッセルは様々な感情を示す言葉を用意して実験参加者に8つのカテゴリーに分類してもらい、それを数学的に処理して図示したところ、感情を示す言葉は円環上に並べられました。それが下の図の「ラッセルの感情円環モデル(1980)」と言われるもので、覚醒-鎮静の縦軸と快-不快の横軸が直交する2軸上で感情が説明できるというモデルです。

この円環モデルを基本感情で色分けすると、下図のように単純化すこともできます。右上から左回りに、喜怒哀楽と当てはめることも可能でしょう。

音楽は感情を表現すると言われることがあるので、この感情円環モデルの中に位置付けて音楽を考えることができそうです。

反抗を表現するロックなら、覚醒度が高く、不快方向の強度が強く、円環の左上に位置しそうです。

環境音楽などは、鎮静方向かつ快の方向で、円環の右下のあたり。演歌は左下に入るものが多そう。

古典的な交響曲などを考えてみると、円環の中で高い運動性を見せそうです。たとえば、円環の左上で覚醒的に戦い、一旦挫折して左下に移動し、元気を取り戻して徐々に右上に移動。つかの間の平和を得て中央に止まったかと思うと、突然の嵐で左上に飛躍し、その後円環内をあちこち往復した後、ついに右上に移動して勝利の歓喜…みたいな複雑な軌跡を描きそう。

円環の中をどんな軌跡で動く音楽が人間に心地よいのか、名作はどんな動きをするのか、どこに位置する音楽がどんな効果を持つのか、円環内の音楽分布が時代や国によってどう違うのか、などなど、このラッセルの円環モデルを使うと、音楽の図形的運動モデル目線でおもしろいものが見えてきそうな気がします。

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