ブリッジ上の弦を載せる部分をサドルと言います。馬具や自転車でも、お尻を載せる部分をサドルといいますが、それと同じ語源です。要するに弦のお尻側が乗る部分がサドルなのです。
この部分は普通は牛骨がつかわれることが多いですが、この度、木で作ったみました。木製のものとしてはエボニー(黒檀)製のものが古楽器などでは存在しますが、エボニーはとても硬い木です。弦の振動をボディに直接伝える部材ですから、なるべく硬い緻密な素材がいいわけです。
上の写真でサドルに使っているのはブラック&ホワイトエボニーです。サドルを支えるブリッジをホワイトシカモアの白にした関係上、サドルも白にしたくて、エボニー(黒檀)なのに白いというブラック&ホワイトエボニーを使ってみたのです。本来エボニーは真っ黒ですが、エボニーでも白化した部分が混ざる木があるのです。ブリッジとサドルは異なる木なのですが、出来上がりはほとんど同じような色合いになりました。
それから、3ミリ幅のブリッジの切れ込み溝に差し込みますが、ブリッジ上にはみ出る部分は5ミリ幅に広げるという工夫もしてみました。これによって、オクターブ調整の調整幅を広げる余地を大きくしてみたのです。なかなかいいアイデアだと思います。
音質的には、牛骨を入れた場合と比べて、とくに劣化は感じられず、可能性が感じられる感触です。今後も木製サドルを時々作って使ってみたいと思っています。