秋田県には、全国でも珍しい、完全な即興による掛唄があります。おもに秋田県美郷町にある熊野神社の「全県かけ唄大会」と、横手市にある金澤八幡宮で開かれる「金澤八幡宮伝統掛唄大会」があり、金澤八幡宮伝統掛唄保存会の記念誌によると、江戸時代に結婚前の良縁祈願として神社の宵宮祭の夜(旧暦8月14日)に社殿で行われていた「お籠もり」に参加する若い娘に同行した人々が、お籠もりが終わるのを待つあいだ酒を飲みながら互いに歌に興じたのが掛唄のはじまりだとされています。掛唄は「仙北荷方節」という祝い唄の旋律を歌い手が歌いやすいように若干アレンジし、その場で出たお題を軸に伴奏なしで歌われ、基本的に七・七・七・五にのせて、夜を徹して当意即妙のやりとりを行います。 日本伝統音楽研究センター
平和で楽しいですね。
以前にも紹介しましたが、世界には即興歌の掛け合いの例がいくつかあり、チリのLa paya、アルゼンチンのpayada、アイヌのチャランケ(歌そのものではないが音楽的な要素もあるように思う)、現代ならラップバトル等がありますが、秋田の掛歌に、いちばん雰囲気が近いのは、チリのLa payaでしょう。
チリのLa paya↓