ウクレレ豆話

タヒチアン・ウクレレ Tahitian Ukulele

タヒチアンウクレレというタヒチで人気のウクレレがあります。タヒチアンバンジョーとも言います。タヒチ、マルキーズ諸島など、フランス領ポリネシアを中心に強い人気があり、クック諸島など旧イギリス領にも広がっているようです。

ハワイのウクレレがタヒチに渡って変化したもののようですが、具体的な経緯はよくわかりません。起源はそう古くないという説明しか見当たりません。

上の写真のように、ハワイのウクレレとはかなり雰囲気がちがいます。4コース8弦の複弦で調弦がGCEAであるのはハワイの8弦ウクレレと同じなのですが、CとEが1オクターブ高いので、とても甲高く鳴り響きます。全コースユニゾンなのもオクターブコースがあるハワイの8弦ウクレレと異なるところです。

作り方も特徴的で、ボディ、ネック、ヘッドの全体を一本の木からの切り出し&くり抜き作業で作ります。南米の小型ギター類にも切り出し&くり抜きのものが数種ありますが、カヌーを作る文化が根付いている地域に板張り楽器が渡ると、切り出し&くり抜き作りに変化するのは、考えてみればごく普通の流れかもしれません。

サウンドホールはなんと裏側にあります。ギターが薄く内部の空間も小さく、音を膨らませて前に押し出そうという西洋ギター的発想は薄いようです。歌の伴奏楽器に徹しようということでしょうか。響きはさほど大きくないそうなので、背後に控えつつも高音なので背景音としてしっかり聞こえるという音作りのようです。

弦はフロロカーボン又はナイロンの釣り糸を使用します。全コースを同じ太さで張ってしまうというから驚きです。テンションは全体としてあまりきつくないということなので、一番テンションが強くなる高音のEにあわせて釣り糸の太さをギリギリに選択し、他のコースはそれよりもテンションが弱くなるという弦構成なのでしょう。

弾き方は高速ジャカジャカ(ストラミング)で、歌にリズミカルな高音の明るさを添えて打楽器的な役割を果たすことが多いようです。こういう感じは、ハワイのウクレレの起源のポルトガルのカヴァキーニョに先祖帰りしているような印象もあります。

この動画がタヒチアンウクレレの概要の説明としてとてもわかりやすかったです。↓

 

 

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