一十舎のウクレレの特徴

材木の仕入れ 楽器選びの広がり

一十舎の木の仕入れ先は、オークション、フリーマーケット、銘木店、個人的な知り合い、などです。

様々な木を自由に仕入れることができる今は、すごい時代だなあと思います。ここまで自由に何でも仕入れることができるのは、ネットが深化してくれたおかげです。

楽器の材木には多くの人が欲しいと思う定番ブランドがあって、ウクレレならコア材、ギターならスプルースとローズウッドなど、楽器選びの視線は少数の特定樹種に集中する傾向がありました。

これはブランド樹種の音質に対する信頼が背景にあるのはもちろんですが、そのほかの理由として、それらの樹種であれば計算できるコストで仕入れるルートが確立されていたという仕入れ面も理由にあったと思います。そして仕入れることができる限られた樹種の中で等級付けが行われることにより、材木の階層のヒエラルキーができ、その頂点にある木の楽器を皆が欲求するという構造が生まれていったのではないかと思うのです。

しかし、ネットで誰もがどんな木でも自由に仕入れることができる現代は、この構造の前提がくずれているような気がします。たくさんの樹種にアクセスすることができる現代では、皆の目線は、少数に集中する方向から、多方面に拡散する方向に向かっていくのではないでしょうか。

いろんな木、いろんな模様、いろんな色合い、いろんな音質を自由に選べる時代が急速に開けているのです。その流れの中では豊かさの概念も変わってきて、てっぺんにある少数を持つことが豊かという感覚から、無数に広がる選択肢の中から自由に選べるのが豊かだという感覚にシフトしていくのではないでしょうか。狭さの豊かさから広がりの豊かさへというような大きな変化を感じます。それは、世間がいいと言うものを持つのではなく、自分がいいと思うものを持つという、選好のありかたにリンクしていくでしょう。

一十舎のウクレレも、そんな広がりの豊かさを感じるものとしてあるとうれしいと思います。