あれこれいろいろ

言葉の意味がわかる古楽コンサート 訳詞の朗読と日本の古典文学

2023年6月2日、「Rinascimento よみがえる音楽」と題して、福岡市のスパツィオイタリア会館において、岩田先生夫妻を中心に、古楽コンサートが開催されました。これからご紹介するのはそのときの演奏の一部です。

古楽コンサートは、数百年前のヨーロッパの風物が絵巻物のように展開するのが魅力ですが、日本人には歌の意味がわからないのが残念なところです。

人が言葉を紡ぎ、それをより良く伝えようとして抑揚が付き、リズムが付き、メロディが付き、そこに楽器が寄り添い、さまざまな技巧がこらされ…と、どんどん立体的になる音楽の、最初の核となった「言葉」を理解できないのは大変惜しいことですが、今回のコンサートでは、言葉の意味がわかるように、訳詞の朗読と、日本語の古典を使った作曲という、二つの試みがありました。

この日本語の朗読や歌詞のおかげて、安心して曲の鑑賞ができました。言葉がわからないまま聞いていたころは、BGМ的に流すように聞いたり、技巧に注目するなど断片的に聞いたりということになりがちでしたが、言葉の意味が最初にわかることで鑑賞のよりどころができ、音楽が全体性をもって立ち上がってきたように思います。

また、訳詞の朗読が曲前に入ることで、次の曲に合わせて私自身が調律されるような印象もあり、楽器が鳴り出した瞬間に私の胸中の琴線も鳴り始めて音楽に加われたかのような、主体的な感覚になれたのも良かったと思います。

色々画期的なことがさらりと行われていた、そんなコンサートだったと思います。

RELATED POST