日本人最古の歌声の録音が川上音二郎一座のオッペケペー節。イギリス1900年の録音です。政治批判、世相批判、リズムと言葉の関係、韻の踏み方など、これぞ世界最古のヒップホップで世界最古のラップだと言われたりもします。
当時の録音↓
現代の聞きやすい版↓
川上音二郎(1864年―1911年)は、自由民権運動が明治政府によって激しく弾圧される時代に、政治批判の演説で百回以上も逮捕釈放を繰り返しますが、集会・討論・演説等に対する法規制によって言論が封殺される中、音楽と演劇に表現の活路を見出します。政治や世情を風刺した『オッペケペー節』(三代目桂藤兵衛作)を寄席で歌って、1889年(明治22年)から1894・95年(明治27・28年)の日清戦争時に大流行。また壮士や書生などの素人を集めて壮士劇・書生劇を旗揚げしたり、日清戦争が始まると戦地を取材した戦争劇で大評判となったり、新派演劇の祖とも言われます。活躍は海外にも及び、アメリカ興行・パリ万博公演が大成功、さらに歌舞音曲のない言葉による演劇を広めたことで日本近代演劇の祖とも言われます。そして最初に書いたように、現代目線でオッペケペー節を見直してみれば、これはもしかした世界初のヒップホップ、世界発のラップだったのではないかと気が付いて、改めて目が開かれる思いの話になってくるわけで、こんな天才的な表現者が明治時代の日本にいたんだということは、もっと知られてよいように思うのです。
ラップ目線の分析がおもしろい↓