スペインと言えばフラメンコ! フラメンコと言えば歌と踊りとギターですが、劣らず大事なのが拍手と掛け声。
演者や観客から次々に飛んでくる掛け声を「ハレオ(Jaleo)」と言います。ハレオの中で特に有名な掛け声が「オレ!」 でしょう。「オレ!」は、スペインがアラブの支配下にあったころ、アラビア人たちが詩の朗読の際に口々に唱えた「ワッラー(wallah)」、すなわち「神にかけて」という叫びの名残と言われています。
ハレオにはほかにも様々なものがあり、「エソエ!」(¡Eso es!、その調子!)、「ビエン!」(¡Bien!、いいぞ!・素晴らしい!)、「ボニータ!」(¡Bonita!、かわいい!)、「グアパ!」(¡Guapa!、いい女!・美人っ!)、「ブエン・ナルティータ!」(¡Buen artista!、いい演者!・名人!)、「バモス・アジャ!」(¡Vamos alla!、行こう!)、「バジャ!」(¡Vaya!、そうだ!・行け!)、「アイ!」(¡Ay!、ああ!)……などなど。
つまり、フラメンコの観客はただの聴き手ではなく、ハレオを通じてフラメンコの共同参加者となり、聴き手と歌い手(踊り手、弾き手)が一体になる中から、魔(ドゥエンデ)が乗り移ったような至上の境地も生まれるのです。
ところでこういう主客一体の音楽性は、南米にも引き継がれているように思います。次の動画はフラメンコではなく、メキシコの歌手が市中で歌う様子ですが、皆が自然に歌い、声をかけ、拍手し、体をゆすってみんなで音楽を作っている様子は、どうしても控えめになってしまう日本人の私には、ちょっとまぶしく感じられます。