前回の続き。
可聴域を超える高周波を含む音が生物に影響を及ぼす現象をHypersonic effectと言います。
様々な指標の試験によれば、可聴音と超高周波が共存するとき、次のような影響が観測されるそうです。
・中脳や視床などの脳の深部構造や前帯状回などの脳の報酬系で活動上昇
・脳波ではアルファ波の上昇
・ナチュラルキラー細胞の活性化、免疫グロブリンの増大、アドレナリンの減少、コルチゾールの減少、手掌部発汗量の減少
・音に対する主観評価の向上
・実験参加者はより大きな音量を最適と感じるようになる
・ 音だけでなくその空間全般への好ましさが向上し、視聴対象への好感が向上する
・認知テストの成績が向上する
・マウス実験では寿命の延長が観測された
どうやら、脳にも身体にも心理にも、好ましい影響がいっぱいの様子。そこから、次のような様々な応用技術の研究開発がされているそうです。
・超高周波再生可能なオーディオ機器の開発(ハイレゾリューションオーディオ・ハイレゾ)
・うつ病や認知症への適用や健常者の血糖値上昇を抑制する効果の臨床研究。
・老人ホームでの長期間の利用など、予防医学分野での実用化
・快適な街づくりのためのハイパーソニックサウンドの活用
・商業施設での音環境造成
などなど。前向きな利用が多分野に及んでいるのですね。
ただし、超高周波を聴くと頭がよくなるとか、成績がアップしたとか、悟りに近づくとか、効果確認不十分な言葉がメディアやSNS上に踊りがちなので、冷静に取り組んで着実なものにしていく必要があると言われています。