作レレ

表板と側板の縁がぴったりのわけ 仕事の段取り

上の写真のように、表板と側板の縁は、ずれることなくぴったりとそろって、きれいな湾曲を描きます。

これを見たある人がこんなことをおっしゃいました。

「こんなにぴったりと切ってきれいに貼り合わせるのは、さぞむずかしいんでしょうね」と。

ところがどっこい、さほどむずかしくないのです。(#^^#)

それは、こうしているからです。

わかりますかね(*´ω`)。湾曲に沿うように板を切り出してから貼り合わせているのではなく、側板をはみ出す大きな板をまず貼り合わせておいて、後からぴったりになるように削っているのです。(^^)/

種明かしをすればかんたんですね。気づくと簡単なんでずか、気づかないと案外いつまでも簡単なことに気づかないものです。(*^-^*)

このように、木工のよしあしは、段取り・手順がカギを握っていることが多いです。

板をぴったりに合うようにと切ってから貼り合わせていたら、結局ぴったりにならなくて、縁ががちゃがちゃの、誰がやっても素人の日曜大工みたいになるでしょう。貼り合わせてから切りそろえれば、ふつうの人が作ってもプロの作品に近いものになるでしょう。この段取りを知っているかどうかが、作品の質を大きく左右します。

作品の質だけでなく、時間も全然ちがいます。ぴったりの湾曲に切ってから貼ろうとしたら、ものすごく時間がかかって、気苦労の多い大変な作業になりますが、あとから切りそろえるのなら、短時間でさほどの苦労もなくできてしまいます。

短時間に楽にきれいにできる。プロの人はそういう段取りをたくさん知っていて、体に染みついているのですね。その上に、そういうよい段取りの工夫をいつも考えて試して改善しています。すると作業がどんどん簡単で正確になります。

名人というのは、最高にむずかしいことをやっている人みたいな印象ですが、実は、最高に簡単な方法だけをやっている人という面もあるようです。つまり最高に合理的なんですね。

(*^-^*)