あれこれいろいろ

スペイン式ジョイントとは ネックとボディのジョイントあれこれ

冒頭の写真はネック成形途中のものですが、右端の方のネックの端っこがスペイン式ジョイントです(^^♪。

ネックの端っこのあっちとこっちにななめの溝がふたつありますが、ここに側板の先端を差し込んで、そこにくさびを差し込んで止めます。こういう、溝に側板を差し込んでネックとボディを接合する方法をスペイン式ジョイントと言うんです。一十舎のウクレレはスペイン式ジョイントです。

ちなみに、ギターやウクレレのネックとボディの接合方法には次の三つが有名です。

① オスのでっぱりをネックに彫って、メスのくぼみをボディに彫って、相互に差し込んでつなぐ方法

② ネックとボディの両方に丸い穴をあけて、両方を連結するようにダボという木片を打ち込んでつなぐ方法

③ そしてスペイン式ジョイント

スペイン式ジョイントは、その名前のとおり、スパニッシュギターの作り方です。フラメンコギターなんかはこの方法のものが多いはずです。

①と②の方法は、ボディとネックを別々に作っておいて、それをあとでつなげる工程になるので、ボディを型枠にはめこんで作っておくことができます。同じ形が何個もできる長所があります。剛性の高いボディの量産ができます。

これに対して③のスペイン式ジョイントは、ボディとネックを一緒に作るので、ボディだけを型枠にはめ込んで作っておくことができないんです。その結果、出来上がったボディの形がウクレレごとに微妙に変わってきます。多少のゆがみも出がちです。でもそれが一個ずつ異なる味にもなります。木の状態を見ながら形を調整して変えていくことができるのが長所です。

私がウクレレの形状をいろいろ変えながら音の変化を実験しているのは、スペイン式ジョイントだからできているのですね。①と②の方法だと、ちょっと形を変えて実験するだけでも、型枠を一から作り直すところからやらないといけないので、簡単ではありません。スペイン式ジョイントは実験がすぐにできます。下のふくらみを少し大きくしてみようとか、中央の湾曲のもっと深くしてみようとか浅くしてみようとか、作るたびにいろいろやっては音に耳を傾けてます。次はこうしてみよう、その次はこうしてみようなんてやってると、いつまでも実験が終わらないんですけどね。(#^^#)

あとスペイン式ジョイントのいいところは、表板裏板をネックに直接貼り付けるので、ネックとの一体性が高いということですね。表板に伝わった弦の振動が、ネックと一体的に響きやすいですね。音響的なメリットがあるはずです。

総合して言うと、スペイン式ジョイントは、手間をかけて作る少量生産に向いてる方式だと思います。

ところで、ちょっと話は変わって、エレキギターの接合方式はまた全然別のようですね。エレキの世界では、①ボルトオンネック方式(ボルトて締め付けてつなぐ)、②セットネック方式(接着剤でくっつける)、③スルーネック方式(ネックがボディのお尻まで一本につながってる)、という三方式らしいです。

ウクレレとはまた違ってておもしろいですね。

今日は、ネックとボディのジョイントあれこれの話でした。( ^^) _旦~~