15世紀から16世紀のイベリア半島ではルネサンスギターは庶民に広く親しまれ、かなり俗な楽器であったようです。
1459年のリスボンでは、ルネサンスギターを奏でながら窓下でセレナーデを歌って気を引いている間に、仲間が家に侵入して窃盗を働くということをする者達がいたことは前に書きましたが、16世紀のスペインの音楽家Fray Juan Bermudoや、同じくスペインの作曲家Mateo Flechaは、ルネサンスギターを伴う必ずしも洗練されているとは言えない音楽に親しむ庶民を揶揄するような一文を残しています。
しかし、絵画や彫刻を見ると、また別の一面が見られます。次のように、16世紀のスペインには、天使が4コースギターを持っているものなど、聖なるものとして一面も見られます。
1 スペイン 16世紀初頭 聖母の戴冠 セゴビア 三位一体教会
2 スペイン 16世紀 アビラ、カテドラル博物館
3 スペイン 16世紀 コーベル、メインチャペル コルドバのモスクとカテドラル
4 スペイン 1530年頃 カテドラル、ルグ
聖俗具有のルネサンスギターの魅力です。
それにしてもギターが教会など聖なる場面に登場するのはヨーロッパの他の地域では見られないことのように思います。イベリア半島特有の歴史的背景もありそうです。
参考
https://www.museodelcuatrovenezolano.com/guitrevih