むかしむかし、オーストラリアのとあるショッピングセンターで、ビング・クロスビーの音楽を流したところ、たむろしていた10代の少年少女が逃げ出しましたとさ、めでたしめでたし、ということがあったそうです。
繁華街の若者の騒音によるファミリー層離れに悩んでいたシドニー市当局は、この話をヒントに、2006年、「バリー・マニロウ - グレイテスト・ヒッツ」を駐車場などに流すことを決定。「マニロウは非常にダサいので、同じ効果があるはずだ」(地方議員ロックデール氏)」と。効果てきめん、騒ぐ若者たちは一掃され、以来この現象は「マニロウ効果」として知られるようになります。
それから次はアメリカの話。2008年、アメリカコロラド州。フォート・ラブトン地裁のポール・サッコ判事は、大音量の騒音の罪に問われた違反者に対し、バリー・マニロウの曲や子供むけ番組のテーマ曲など、判事が選んだ曲を一時間大音量で聞かせるという処罰を考案し、再犯の数を減らすことに成功しました。
マニロウ効果のすごいところは、ファミリー層は逃げないのに、騒音を立てる若者だけが逃げるというところです。
若者たちにとっては、市当局が騒音と認定している音こそ最高の音で、バリーマニロウはとんでもなくひどい騒音に聞こえるのかもしれません。
音楽が集団や世代ごとに異なる作用をするというのは、おもしろい研究テーマです。音楽の本質に迫るヒントがありそうです。
なにはともあれ、バリー・マニロウ、聞いてみましょう。↓