写真は、屋久島の日向野さんがメールに添付して送ってきてくれた、小型ルネサンスギター用の弦のテンションの計算表各種です。周波数、弦の材質、弦長、テンションなどの様々な組み合わせを見ながら、七本の弦の適切な組み合わせを探るためのものです。
私は、キルシュナー社の計算尺を使用してアナログな感じで弦計算しているのですが、日向野さんは弦の計算サイトString Calculator (niskanenlutes.com) を利用してより精緻な数値を出し、写真の表を作製してくれました。ここ数日、こういう表を見たりしながら、ガット弦やフロロカーボン弦の適切な選択について協議し、実際に弦を張って音や弾き心地を確認することを日向野さんとしていたのです。
その結果、小型ルネサンスギターについては、どうやらフロロカーボンが非常に向いているようだという方向性が見えてきました。本物のガット弦ももちろん悪くないですが、フロロカーボンが想像以上によい音で、かつ弾き心地もいいようなのです。
小型ではない標準サイズのルネサンスギターの場合は、フロロカーボンより本物のガット弦の方が向いていて、適切なゲージはこのあたりと、こちらは古楽器奏者の岩田さんと以前にいろいろ協議して実験も繰り返し結論が出ていました。
小型ルネサンスギターと大きいサイズのルネサンスギターとでは、ボディサイズの相違に応じて共鳴周波数の特性が違うのでしょう。小型ルネサンスギターの場合はガットに劣らずフロロカーボンが非常に良いようだというのは、かなり目からウロコが落ちる感じがしました。具体的に言うと、小型ルネサンスギターにフロロカーボンを張ると、標準サイズのルネサンスギターにガットを張ったときの音にかえって近くなり、華やかで軽やかでやわらかな響きが広がり、なおかつ弾きごこちも軽くなるようなのです。
岩田さんと日向野さんという、先入観にとらわれないお二人の演奏者の力を得て、ルネサンスギターがまたひとつ育ってきたようです。少しずつ雲がはれて山の視界が開けてくるような気分です。