昨日ご紹介した本、メイキング・マスター・ギターを読んで、クラシックギターの有名な製作者たちの共通の特徴がひとつわかりました。
それは、どの製作者も常に新しい試みを取り入れ続けていた、ということです。
あるときはブレイスを五本から七本にし、
あるときはブレイスを伸ばしてみて、
あるときはハーモニックバーに穴を開けてみて … と、
一本ごとに何かを変化させているのです。
よりよい音を探して常に技術を変え続けています。
作品の一本一本が、その時点の完成品であると同時に、次の試作品にもなっているようです。
これを読んで私は励まされました。
私も新たな試みせずにはいられないところがあって、一本ごとにどうしても作りが変化してしまうのですが、「それでいいんだろうか?」という気分が少しあったからです。
昔、あるベテランの木工家の人から、「まったく同じものを全く同じようにいくつでも作れなければプロではない」という趣旨の話を聞いて、どこか引っかかっていたのです。
技術的な正確性、再現性が必要という意味では確かにその方の言うとおりだろうと思うのですが、新たな試みを否定してしまうエネルギーが背後に含まれている言葉のようにも聞こえて、ちょっと気になっていたのです。
今回、ギターの名工たちの話を読んで、新たな試みに躊躇する必要はない、ということが再確認できたような気がしてちょっと嬉しいです。(^^)
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