ウクレレの表板、裏板、側板の板の厚みは、どのくらいに仕上げるのが一番いいのか、ということなんです。ボディ全体の厚みの話ではなく、「板」の厚みの話です。
「板は薄ければ薄いほどいい」「板が薄いほどよく鳴る」と言う考えはわりと一般的で、どれだけ薄い板で作れるかに挑戦している製作家の方も多いと思います。
特に表板などは、太鼓の皮のように振動して音を生み出す部分なので、薄いほどよく振動しやすくなり、よく鳴るという面は確かにあると思います。
しかし私は音質のことも考えると、薄ければいいとも限らないと思っています。
薄すぎると、音質が軽すぎるということがあるように思うのです。今まで手にした様々な市販のウクレレで、すばらしいと思ったものの多くは、けっこう厚めの板のものでした。
昔、車好きの友人が、ドイツ車は日本車に比べると剛性感のある音でドアが閉まるから気持ちいいと言っていました。確かに材質の厚みからくる音の安定感の感覚はありそうな気がします。
ウクレレにも、板の振動を安定してしっかり出すのに適した厚みがあると思うのです。一十舎ウクレレは、よく鳴るということ以上に、音の安らぎ、寛ぎという面に多くの意識をもっていますので、木のポテンシャルをしっかりと支えて、安心感のある音が出せる厚みを持たせたいと思っています。
具体的には、木の種類、柔らかさ、緻密さなどの諸条件によって厚みは異なってくるはずで、目の前の板を削ったり、切ったり、たたいたり、なでたり、ながめたり、そんな繰り返しの中から、板との話し合いで決まってくることになります。(*^^*)