ウスレレを毎日作っていると、ふつうの厚みのウクレレを見たときに、「ずいぶん厚いなあ」と思うようになります。
楽器屋さんでアコースティックギターを見たときなどは、「なんて巨大な楽器なんだ!」と思います。
そしてウスレレに戻ると、「ああ、落ち着く大きさだ」と思うんです。(*‘∀‘)
どうやらウスレレの大きさと厚みがすっかり私のスタンダードになったようです。(#^^#)
ところで、一般にアコースティックギターのスタンダードはこのタイプです。
ドレッドノートタイプのアコースティックギター。
この形を世に出したのは1931年のマーチン社ですが、これを見てその音を聞いてびっくり仰天した当時の人々が、「これはドレッドノートのようだ!」「そうだ、ドレッドノート級だ!」と言い出して、その名前になったようです。
ドレッドノートとは、当時のイギリスの巨大戦艦の名前です。1906年に竣工した当時を代表する巨大戦艦がドレッドノートいう名前でした。この形のギターは、当時の人々の感覚からすると、あまりにも巨大で大迫力でその音は巨砲のとどろきのように聞こえたんですね。以後その迫力でギター界を席巻していきます。
ドレッドノートギターが楽器店に当たり前に並んでいる現代では、当時の人々のこの感覚は想像しにくいかもしれませんが、私にはその実感がわかるような気がします。私がウスレレスタンダードの感覚で楽器店に行くと、ドレッドノートギターを見て本当にギョッとしますから。「でかっ!」と思って足が止まります。
ドレッドノートギターが巨大戦艦なら、それ以前の小ぶりのクラシックギターなどは普通の客船や商船で、ウクレレは小さなぽんぽん船というところでしょうか。そしてウスレレはもう手漕ぎボートですね。(*‘∀‘)
そう、私が好きなウスレレの感覚は、手漕ぎボート級(*^-^*)。
昔、子供が小学生だったころ、湖で釣り用の手漕ぎボートを丸一日借りたことがありました。子供が気の向くままにボートを漕ぎまわり、私はウクレレを持ってボートに乗りこんで、風に吹かれながらウクレレをぽろりぽろりと弾いていました。釣り貸しボートなのに釣りはなし ^^) 。
青空と、白い雲と、水のきらめきと、風と、心地よいゆれと、その中で弾くウクレレの音…あの感じが私の作るウスレレのイメージに近いかもしれません。
前にもちょっと書きましたが、「激鳴り」とか「箱鳴りがすごい」とかかウクレレの評価の前面に出てくることに、なじめない感じがいつもあります。激鳴りとか箱鳴りって巨大戦艦の大迫力みたいなお話で小さなウクレレに向ける視線じゃないような気がするんです。静かな湖に巨大戦艦を浮かべようとしているソワソワ感みたいなのを感じてしまうんです。
私が作るウスレレは、たぶん、戦艦じゃなくて湖の手漕ぎボート級なんです。
平和で穏やか。静か。青空と雲と水。何もないのに満ちている。そんな感じです。(*^-^*)