この不思議な形の楽器は、タールというペルシャ語圏の代表的な楽器のひとつ。イラン人にイランの楽器はと問えば、このタールを思い浮かべる人は多いそうです。タールの分布は、イラン、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、アルメニア、ジョージア、タジキスタン(イラン高原)、トルコ、およびコーカサスと中央アジア地域など。
タールは中世にはすでに存在していたことがわかっています。タールという言葉はペルシャ語で「弦」という意味。地域的に大きく分けてペルシャタールとアゼルバイジャンタールがあり、イランで使用されるペルシャタールは3コースで、CGC又はCFCに調弦され、これは日本の三味線と同じ。このペルシャタールが中国に渡って三絃になり、それが琉球で三線になり、それが日本本土で三味線になったとも言われています。
ペルシャタールの特徴はなんと言ってもこのボディ形状。どうしてこういう形状になったのか、理由を知りたいものです。
桑の木を彫った胴体に、表面には子羊の皮が張ってあります。長いネックには、ガットフレット。金属弦をバチを使って弾きます。
桑の木を使うところは日本の琵琶と同じだし、3コースで長いネックで表面皮張りのところは日本の三味線と同じだし、ガットフレットを使うところはルネサンスギターやビウエラやシトールと同じだし、胴のくびれは西洋の弦楽器の胴のくびれの原型のようでもあるし、胴を木の彫り込みで作るところは西洋中世のシトールに似ているし…などなど、東西楽器の様々な影響関係が気になります。
タールの奏法は胸の高いところにもって弾くそうです。こんなふう。
でも古い絵画では低いところに持って弾いていたり、楽器形状もよりギターにより近い感じだったり、いろいろ歴史的地域的変遷がありそうです。
タールのと音はこんなです。↓