ウクレレの魅力

タヒチアンウクレレはポリネシアでかくも親しまれていた ルネサンスギターにも通じる楽器の拡大波及現象

タヒチアンウクレレのことをつい最近まで全く知らなかったのですが、ポリネシアのいくつかの島々では、とても広く親しまれている楽器だということを知りました。

タヒチで最初に開発された後、徐々に付近の島々に広がり、現在ではタヒチ、クック諸島、ラパヌイ、ニウエ、マルケサスなどの音楽になくてはならない楽器となり、今やどこでも見聞きすることができるもので、家族友人が集まるときはいつでもタヒチアンウクレレが登場するようです。

タヒチアンウクレレ、タヒチアンバンジョー、ポリネシアンウクレレ、アイランドウクレレ、単にウクレレなど、様々な呼び名で親しまれています。(ちなみに、タヒチアンウクレレをウクレレと呼び、ハワイのウクレレのことは、カマカと呼んだりするそうです(^-^))

このようなタヒチアンウクレレの人気を反映して、2015年には4750人が同時にタヒチアンウクレレを演奏する世界記録樹立のイベントが行われました。フランス領ポリネシアのエドゥアール・フリッチ大統領は、「ウクレレが転がっているのを見つけないポリネシアの家族はありません。それはあなたがあなたの悲しみを悼む楽器です」と言ったとか。そのときのイベントの様子がこちらです。↓

このイベントに合わせて、数か月前からタヒチアンウクレレをはじめた人も多かったそうで、楽器の裾野を広げるのにイベントは有効なようです。

タヒチや付近の島々の家の中に浸透している様子は、沖縄の三線にも似てるなあと思ったりもします。

ポルトガルのカヴァキーニョが、マデイラ島に渡ってマデイラ島を代表する楽器になり、それがハワイに渡ってウクレレとしてハワイ人を代表する楽器になり、それがタヒチに渡ってポリネシアの島々を代表する楽器になり、次々と民族意識に浸透していく様は、なにかただならぬパワーを感じます。わずか200年の間に起きたこの拡大浸透の大きさ、その間にかくも変化した楽器の形状、かくも変化しながら確かにつながっているこの小型4コース楽器の本質など、興味が尽きません。

このような楽器の拡大波及現象は、500年前にルネサンスギターが中南米やアジアに渡ったときにも起きていた可能性があり、歴史を貫いて繰り返される何か大きな潮流を感じるのです。

 

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