作レレ

ロゼッタ

ロゼッタという言葉を聞いたことがありますね。語源的にはローズの女性形で、ばらの花飾りというような意味のようです。現代のギター、ウクレレの世界では、サウンドホールを取り囲む飾りのことをロゼッタと言います。

たとえばこれですね。貝のキラキラ、あるいはそれっぽいアクリル板などを埋めるのが普通は多いようです。↓

一十舎では貝ではなくこんなふうに木を埋めています。↓

でも歴史的には、サウンドホールの中まで全体が飾りで埋められていた期間が長いのです。冒頭の写真がその一例ですが、こんなのもそうです。。

15世紀ころから18世紀ころまで、ルネサンスギターもバロックギターも、みんなホールの中に飾りいっぱいに入っています。それ以前からあるリュートも穴が装飾で埋め尽くされていますし、さらにどんどんさかのぼってリュートの元になったアラビアのウードという楽器もアラビア風の装飾がいっぱいに彫られています。

こうしてみると、サウンドホールが単なる穴になったのはつい最近19世紀ころの話なのですね。それ以前は数百年から1000年にわたり、サウンドホールは単なるホールではなく飾り窓だったのです。この装飾はいろんなデザインがあるわけですが、植物が茂るような装飾も多く、「バラの花飾り」というロゼッタの語源も、そのあたりから出てくるのだと思います。

千年近くもここに装飾があり続けたのが、ここ200年くらいの間にすっかり姿を消したのはなぜなんだろう、ということを最近よく考えています。