一十舎のウクレレの特徴

木工談義12 ギターリペアマンの人との会話

先日、ギター修理を仕事にしている人と知り合い、いろいろと話しました。

中でも印象に残ったのは、

「ギターの世界はいくつかの型がほぼ決まっていて、それ以外の作り方をすることはほとんどないが、ウクレレは自由なデザインで作っている人が多い。ギターの世界でも、自由にいろんなデザインで作ってもいいはずだが、そういう人はあまりいない…」

という話でした。

私がウクレレ作りに惹かれているのも、まさにその自由度のところにあるような気がします。ギターには完成形が存在して、そこからはみ出すものを作ってもなかなか売れないかもなどと考えると、私はウクレレ作りでよかったと思うのです。

バイオリンなどは完成形がもっと顕著で、ストラディバリウスの形が完全形で、ほぼ全員がそれに到達することを目指して作っているようなところがあるようです。ストラディバリウス形以外はつまり、極端に言えば不完全形になりかねません。

完全形という発想の裏側で、それ以外はみんな不完全形になってしまうと、自由な展開がどうしても消えていきます。それはとても大きな損失だと思うのです。自由な展開、新たな工夫が生まれないのは、それ自体が大きな不完全を内包してしまうような気もします。

私は自由なウクレレ作りが好きです。ですから、一十舎のウクレレには、型式がありません。過去に型式を決めてみたことはあるのですが、次々アイデアが湧いて型式におさまらないのでやめました。大量生産をするわけでもないので、一十舎のウクレレに型式の縛りはあまり必要もないようです。

 

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