あれこれいろいろ

駱駝に琵琶を載せる方法

駱駝に琵琶を載せる方法なんてことをまじめに考えている人は、今この瞬間に世界に私ひとりかもしれない…と思うのですが、「楽器の伝播と変化」を考えるとき、移動手段と積載方法は案外大切なテーマです。

シルクロードを行く駱駝のキャラバンには琵琶型の楽器が旅のお供になっていた形跡があるのですが、何日進んでも変わらない景色の中、日がな一日駱駝の背に揺られて退屈を紛らすためには、やはり楽器を手元に置いておきたい。できれば駱駝を止めることなく、すぐ手に取れるところに置いておきたい。

そうすると、駱駝の鞍の前側に紐で結び付けて、駱駝の首の付け根横あたりにぶら下げる形が一番いいんじゃないか(上の写真の白いタンクのあるあたり?)。これもすぐ手に取れる位置の飲み水の袋の横とか。そうすると、ペルシャ系の琵琶は糸巻きのところが直角に折れ曲がっていて、紐で結びつけるのに非常に都合がよさそうです。ボディの弦が張ってある側は弦がこすれてしまわないように外側に向けることにして、ボディの丸みのある方は、様々な荷物の袋がぶら下がる隙間にフィットして都合がよかったかも。

なんてことを考えると、琵琶は駱駝のキャラバンにぴったりの楽器であったような気がしてきます。そして延々と移動しながら毎日楽器を弾き続けると、キャラバンの人々はさぞや楽器が上手になったのではないか。楽器上手があちこちの町に寄りながら中国まで移動すれば、必然的に楽器も演奏方法も音楽そのものもどんどん伝播して広がって混ざっていくことになるわけで、シルクロードは楽器ロードでミュージックロードでもあったのだろうと思うのです。

追加・ところで中国に入ってきた5弦のインド系琵琶は糸巻のところが曲がっておらずまっすぐなので結びつけにくそうですが、インドから中国までは海路があり、陸路は山を越える必要があり、駱駝のキャラバンとは異なる移動の仕方が中心だったのでしょうか?

シルクロード☟