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平たい円形の琵琶「阮咸」 起源をさかのぼると馬上楽器だったらしい

正倉院の琵琶には、写真のような薄く平たいものもあり、「阮咸」といいます。三世紀中国の「竹林の七賢」の一人「阮咸」が、亀茲の楽器を元に改良して発明したものとも言われています。

その起源を更に遡ると、どうやら馬上で演奏できるように作られた小さな楽器であったようで、ふたつの説があります。

ひとつは北方辺境の少数民族が遊牧生活をするうちに馬上で使ったものが広まったという説。

もうひとつは前漢の武帝が、紀元前105年に、甥の娘(烏孫公主)が烏孫王に嫁ぎに行くに際して、馬上で弾いて故郷を懐かしめるようにと職人に箏筑を裁断させて作らせた楽器という説(晋代・琵琶賦より)。

どちらの説にしても、馬上で弾けるように作られた比較的小ぶりなものであったようです。昨日書いた駱駝の上で弾かれたペルシャ起源の琵琶と対比するとおもしろいです。砂漠をゆったり行く駱駝と、もう少し活動性の高い馬とでは、ふさわしい楽器の形状も異なってきて、形状が変われば、音も変わり、奏法も変わり、音楽も変わっていきます。ちょっとした環境の変化に応じて、様々な楽器と音楽が生まれてくるところが、音楽の歴史のおもしろさです。

 

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