ウクレレ豆話

ギター型楽器における共鳴過程

ギター型楽器の共鳴の過程をまとめてみました。

① 弦の振動(線の振動) 弦の両端が固定されていることで、定在波(定常波)が発生する。定在波は、弦の周囲の空気をより大きく振動させ音を大きくする機能があるが、まだ弦だけでは空気振動の面積が小さいので、これだけでは音は小さい。

※定在波とは、反対方向に進む2つの波が重なり合い特定の場所で振動(振幅)が最大になる現象。弦楽器や管楽器や打楽器では、振動の両端の位置が固定されることで特定の周波数の定在波が発生し、振幅の「腹」が大きくなり、大きな音になる。

※定在波では、振幅は2倍になり、音のエネルギーはその2乗の4倍になるが、人間の耳は小さな音の変化には敏感で大きな音の変化には鈍感という性質がある結果、実際には少し音が大きくなった(1.3倍くらい)程度に聞こえる。

② 板の共鳴(面の振動) 弦の振動は、ブリッジを介して、響板に伝達される。弦の振動数と表板の固有振動数が一致(又は近接)することで、響板自体にその周波数の定在波が発生し、面全体の大きな振動に変換される。

※響板の振動は、ボディ全体の細かな振動を作り、高音域の美しい響き(クリアで煌びやか)に強く影響する。

③ 内部空間のバネ効果(空間の振動) 響板の振動が、響板下の空気を押し下げ、内部の空気のかたまりがバネのように機能して共鳴し(ヘルムホルツ共鳴器)、音が増幅される。

※ ヘルムホルツ共鳴器とは、瓶の口に息を吹き込むと、空気が中に押し込まれて圧力が高まり、空気を押し返そうとする反発が生まれて、再び空気が口元から押し出される。このサイクルが繰り返されて、空気の塊がバネのように振動し音が増幅される。ギターもこれと同じで、サウンドホールがヘルムホルツ共鳴器の開口部に相当し、ボディ内部の空気のバネがサウンドホールを出入りしながら大きく振動し、音が大きく増幅される。

※ このボディ内部の空気のバネは、主に最低共振周波数を決定し、低音域のふくよかさや太い響きに強く関与する。

④ ギター内の音の跳ね返りによる定在波 ギター内部では、上記の空気の固まりのバネ効果のほかに、音の進行波が反射して重なり合うことによって音が強調されたり、打ち消し合ったりという定在波の現象も同時に起きる。

※ ギター内部の音の跳ね返り具合は、ボディの形状、容積、木材の性質(反射と吸収)によって変化し、音質、ギターの箱鳴りの質感、特定の音域のキャラクターに影響する。たとえば、薄いボディは反射サイクルが早いのでシャープな音に、分厚いボディは反射に時間がかかり奥行きや余韻(サスティン)を生む。硬い木材は明るい反響、柔らかい木材は温かみのある反響に繋がる。裏板や側板で反射した振動は、表板にもフィードバックされるので、全体の相互作用でホールから出る音のキャラクターが決まってくる。

※ 特定の定在波が強すぎる場合、特定の音だけが異常に大きくなったり詰まったりするウルフノートの原因になる。たとえば、ギター内の共鳴音がGやAといった音程に完全に一致すると、音が詰まったり長く響かなかったりして「ウルフ」や「デッドポイント」が生まれるので、共鳴周波数をGとAbの間など、特定の音程からわずかにずらすように設計する。ヘルムホルツ共鳴の共鳴周波数をコントロールするには、ボディ容積、サウンドホールの大きさ、ブレーシング、ネックの長さなどを変えることで試みる。

⑤ 以上の①から④が組み合わさって全体として作用し、わずかな力で大きな共鳴を引き出しつつ、個性ある響きを生む。

 

 

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