あれこれいろいろ

帆船とギター2

昨日の続きですが、帆船の長期航海に適合するようにリュートを改良するとしたら、何をどう変えればいいのか。ざっと次のような点が考えられそうです。

① 球形ボディを平面化する…船内で転がらないように

② 作りを堅牢にする…波浪で壁や床に打ち付けられても破損しないように

③ 小型化する…狭い船内の隙間にも収納しやすいように

④ 弦数(コース数)を減らす…ガット弦の管理が容易なように

⑤ 単弦化する…ガット弦の管理が容易なように

これらを14~15世紀以降に登場したギター型楽器で見てみると、

ビウエラは①②

ルネサンスギターは①③④

カヴァキーニョ、クアトロ、ティンプレ、ラジャンなど各地に残る小型ギターは①③④⑤

にそれぞれ当てはめることが可能で、大航海時代に適合していく諸形態として分析できそうです。そして現在はこれらのギターが古楽器や民族楽器という辺縁的な楽器としてしか残っていないのは、大航海時代の終焉とともに帆船が中央から姿を消していったのと同じことのように思えます。

そして航海と関係ないヨーロッパ大陸内では、ギターはむしろ大型化し繊細化し貴族化するという逆向きの潮流が生まれ、それが現代の6弦ギターに連なる流れになっているように思われます。

 

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