インターネットで音楽を楽しむのが普通の今日、気が付けば自分がよく聞く傾向の音楽ばかりがリストに並び、同じ音楽を好む人たちのコメントばかりが表示されています。これはフィルターバブルとかエコーチェンバーと言われるもので、一般に次のように説明されています。
「フィルターバブル」とは、アルゴリズムがネット利用者個人の検索履歴やクリック履歴を分析し学習することで、個々のユーザーにとっては望むと望まざるとにかかわらず見たい情報が優先的に表示され、利用者の観点に合わない情報からは隔離され、自身の考え方や価値観の「バブル(泡)」の中に孤立するという情報環境を指す。
「エコーチェンバー」とは、ソーシャルメディアを利用する際、自分と似た興味関心をもつユーザーをフォローする結果、意見をSNSで発信すると自分と似た意見が返ってくるという状況を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象にたとえたものである。
どちらもとても便利な機能ですが、いつのまにか「自分の好み=世界全体」みたいになってきて、多様性が視界から消えていきます。
これは音楽を楽しむ機会が奪われているということに近いように思えます。多様性が見えない分、音楽を選択する機会が奪われ、音楽を聴く自由が失われています。自由が奪われていることに気が付かないうちに小さな満足の音楽世界に閉じ込められてしまいます。
もし自分が選んだことがない音楽がランダムに表示されてくるアプリがあったらインストールしたいと思います。また自分が聞いた音楽と異なる音楽がセットで表示されてくるアプリなんかもいいです。そんなアプリがあれば、好みの音楽をひとつ聴くたびに、好きな音楽と新しい音楽の両方を発見する機会が生まれるので、フィルターバブルやエコーチェンバーの外に出て音楽を楽しむことができます。