あれこれいろいろ

楽器分類法について 金属製なのに木管?

昨日、「体鳴楽器」としてカスタネット、三板、鳴子のことを書きましたが、この「体鳴楽器」という言い方は、発音原理を上位概念として楽器を分類する分け方から来ています。この分類は、次の五つに分けることが多いですが、最後の電鳴楽器には異論もあります。

・体鳴楽器…楽器本体が振動して音を出す楽器

・膜鳴楽器…膜の振動によって音を出す楽器

・弦鳴楽器…弦の振動によって音を出す楽器

・気鳴楽器…主に空気の塊を振動させることによって音を出す楽器

・電鳴楽器…最終的に電磁気力によって音を出す楽器

私達が普段耳にするオーケストラの楽器の分類はこれとは異なりますね。「管楽器・弦楽器・打楽器」に「鍵盤楽器」も加え、さらに管楽器を「木管楽器」と「金管楽器」の二つに分けるというのを良く聞きます。

しかしこのオーケストラの分け方を良く見ると、管楽器は楽器の形態による分類、弦楽器は音を出す振動体による分類、打楽器は奏法による分類、鍵盤楽器は音を出すメカニズムによる分類、木管と金管は楽器の材質による分類というように、視点が完全にばらばらです。おまけにフルートはほとんど金属製なのにエアリード式の楽器であるからという理由で木管楽器に分類したりしています。近代楽器学創設者の一人であるクルト・ザックスは、この視点の混線ぶりについて、「これはちょうど、アメリカ人をカリフォルニアの人と銀行家とカトリック信者に分けるのと同じ」であると表現して批判しています。

そんなわけで、奏法なり、材質なり、発音原理なり、とにかく視点をひとつに決めて行かないとわけがわかんないということで、いろんな分け方が提唱されるのですが、先の体鳴楽器、膜鳴楽器、弦鳴楽器、気鳴楽器、電鳴楽器というのは、発音原理の視点で統一を試みた分け方ということになります。

私が参加している古楽器アンサンブルのリハーサルでは、はじき組、こすり組、たたき組、吹き組、うたい組という感じで順に練習して最後合わせるということが多いのですが、これは多分奏法による分類と言えそうです。実際の練習場面ではこんな分け方が役に立っています。

 

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