あれこれいろいろ

斜めに持つ笛の広がり

昨日の続きですが、どこから来た人たちなのかわからなパキスタンのカラシュ族は、冒頭の写真のような、斜めに構える笛を吹いていました。名前はわかりませんが、その演奏が次の動画。☟

このような斜め笛は、吹き口が単純な丸い穴で音を鳴らすには斜めに息を当ててやる必要があり、必然的に持ち方が斜めになるそうです。この斜め笛はユーラシア大陸を東西に横断するように広がっているようです。情報源は次のブログです。詳細はそちらをご覧ください。☞ https://blog.yoheijimbo.com/entry/2018/01/24/230809

斜め笛の広がりをおおむね西から東にたどって行くと、マケドニアのシュペリカ(Shupelka,Supeljka)→ルーマニアのカヴァル・ファラ・ドプ(Caval fara dop)→ブルガリアのツァファラ(Tsafara)→ウクライナのフローヤラ(Floyara)とフリルカ(Frilka)→アラブ(エジプト、トルコ・イランなど)のネイ(Ney)→アルメニアのブルール(Blul)→ロシアのバシキール人のクライ(Quray,Kuray)→カザフスタンのスブズグ(Sybyzgy)→トルクメニスタンのガルギ・トゥイドゥク(Gargy-tuyduk)→モンゴルのツォール(Tsuur,Chuur,Choor)、と言ったところで、このほかの地域の広がりとして、アフリカのチュニジア、エチオピア、マダガスカル、アジアを南下してインドネシアにも見られます。

いくつか演奏を見てみましょう。

ウクライナのフリルカ☟

カザフスタンのスプズグ☟

モンゴルのツオール☟

さてここで、次のユーラシア草原地帯の地図を見てください(「遊牧国家の誕生」林俊雄著より引用)。

このユーラシア草原地帯の広がりに、斜め笛があった国をあてはめていくと、かなりの確率で一致するようです。

ユーラシア草原地帯と言えば、歴史上様々な遊牧民族が東西に季節移動を繰り返していたルートであり、三つのシルクロード(草原ルート、オアシスルート、海上ルート)の草原ルートそのものであり、また騎馬遊牧国家の侵略ルートでもあります。つまり、遊牧民の産業、生活、商業、軍事ルートがこのユーラシア草原地帯。

してみると、ユーラシア草原地帯に沿うように広がるこの斜め笛は、遊牧民と関係がある楽器の可能性は結構ありそうです。それが草原ルートをたどって東西に広がり、時に強大となった騎馬遊牧国家の侵略を通じて南方にも広がりを持ったという可能性もありそうです。

さてこのような推理を前提に話は最初に戻して、パキスタン北西の謎の山岳民族カラシュ族の話ですが、この斜め笛をカラシュ族が持っているところを見ると、イラン系の遊牧民族スキタイ人の末裔説というのは、なるほどあり得る話に思えてくるというのが、今回の歴史推理遊びの結論でした。(^^♪

 

 

 

 

 

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