西洋の古い楽器には、それ単独ではさっぱり鳴らないのに、教会の石造り音響の中で弾くと素晴らしい響きになったりするという話があります…これはつまり楽器と建造物の全体がひとつの楽器を構成しているということで、楽器と環境が不即不離の関係にあることを教えてくれます。
このエピソードから発展して、次のふたつの考え方が出てきそうです。
ひとつは、楽器はそれが作られた環境から安易に離したり楽器を改変したりしてはならないという考え方。
もうひとつは、楽器は環境が変われば環境に応じて変化していくのが自然だという考え方。
このふたつの考え方は、変化を拒否するか許容するかの点で一見逆方向にも見えますが、実はひとつの論理の裏表なのかなと思ったりします。