あれこれいろいろ

達人的演奏の聴覚情報と視覚情報

目と耳に同時に刺激が与えられたとしても、大脳皮質の視覚野と聴覚野にそれぞれの神経経路を通って情報が到達するまでの時間は、聴覚情報の方が視覚情報よりも数十ミリ秒も早いのだそうです。ミリ秒は1000分の1秒ですから、数十ミリ秒というのは案外大きな違いです。

聴覚情報で戦っている座頭市が視覚情報で戦っているやくざよりも反応が速くて強いというのは、論理的にあり得る話ということになってきます。剣豪小説などにも、目を閉じて心眼で戦うという話が出て来たりしますが、これも達人級の剣の使い手は、視覚情報の遅さに頼るのをやめて、もっと早い情報で戦うようになるという経験的事実に基づいているのかもしれません。

音楽の演奏でも、楽譜という視覚情報に基づいて演奏していると、反応速度が数十ミリ秒遅れるわけですから、音楽の精度としては無視できない大きさです。音そのものに反応する演奏がマスタークラスへの道ということになるでしょうか。

 

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