上の写真が割れて廃棄されそうになっていた碁盤を譲り受けウクレレ用に製材した桂の板。100年超の乾燥材は音抜けが良く今後も大事に使う予定です。
桂の木のことを調べていたら、桂は伝説によく登場することがわかりました。
まずは、山幸彦と豊玉姫の出会いの場面。海幸彦の釣り針をなくしてしまった山幸彦は、船で海の神の宮殿へ行き、宮殿の泉のほとりにある桂の木に登って待ちますと、海の神の姫である豊玉姫の侍女が現れて山幸彦に気付き、山幸彦と豊玉姫が結婚する出会いへとつながっていきます。
その桂の木の上にいる山幸彦を描いた有名な絵がこちら。
それから京都の水の神様の貴船神社には桂のご神木が何本かあって、縁結び、夫婦和合など信仰の対象として有名だそうです。
また桂の木はアイヌの伝説にも登場します。「アイヌ文学の生活誌 更科源蔵著」から三つの話をどうぞ。
雷神の妹である蛇のせいでオタンツの酋長が妻につらく当たるようになり、いたたまれなくなった妻は家を出て、桂の木の下で休んでいると、桂の木の上のムササビが歌で雷神の妹の悪だくみを知らせてくれたので、酋長の妻は家に戻って雷神の妹を追い出し、家庭の平和を取り戻した。
熊取り名人が山に猟に入り、桂の木の下で野営していると、夢に神が現れて、「私は桂の木の神であるが、明日はおそろしいことに出会うであろうが、今夜私のところに泊まったので私もできるだけの力を貸すが、気を付けで山を歩きなさい」と言った。すると翌日、山で人間の何倍もある六人の山男に襲われたので、大声で桂の木に庇護を頼み、山男と戦って打ち倒し、疲れ果てて寝入ってしまうと、夢に打ち倒した山男が現れ、「あなたは元々えらい人だが、桂を信仰してその助力でわれわれを打ち負かした本当の勇者である」と言った。
英雄オスタトンクルが、桂とヤチダモで丸木舟を作ったが、軽い桂の舟ばかりを愛用していた。とある夜、女同士の争う声が聞こえ、起きて行ってみると、髪の縮れた女と髪の長い女が掴み合い、髪の長い女は、「お前ばかり毎晩漁に連れて行かれて可愛がられ満足だろうが、私はいつも陸に上げられて干されて痩せているではないか」と悔しそうに叫ぶので、オスタトンクルが叫んでいる女を切ると、叫んでいる女はヤチダモの船に戻り、ふたつに割られていた。髪の縮れた女は桂の舟になり、ヤチダモの舟にいじめられて傷だらけになっていた。オスタトンクルはヤチダモの舟を焼き払い、以後ヤチダモでは決して舟を作らないようになった。
どうやら桂の木の上や下にいる人を、桂は守護したり、良い縁をくれたりするらしい。また、海、水、舟というのがキーワードになってるらしい。
というわけで、桂で作ったウクレレを弾く人には、何か良い導きがあるにちがいない、特にボートの上とか水辺などで弾くと吉、ということにしておきましょう。(^-^)