カナダイヌイットやアイヌにみられる喉の遊び(throat singing)は、動物の声や自然音の模倣、無声音の繰り返しなどで即興的な音のやりとりを楽しみますが、これはユーラシア大陸とアメリカ大陸が陸続きだった一万数千年前からの歴史を持つものかもしれない、と前に書きました。
このthroat singingを聞いていて思い出したのが、human beat box。human beat boxとはこちらの動画をご覧ください。
このSHOW-GOさんという方は天才ですね。
ウイキペディアには、human beat boxについて、次のように書かれています。
世界初のヒューマンビートボックスの専門書『Human Beatbox-Personal Instrument-』(日本版未刊行)の著者Patryk Matelaによれば、「ヒューマンビートボックスは、発声器官のみを使用して、リズムのあるドラムサウンド、メロディーまたは模倣した楽器を創りだす芸術である。これは、単語の子音または母音だけでなく、非言語音も使用する歌唱法の最先端の方法である」とされている。
具体的な表現事例としては、レコードのスクラッチ音や、ベース音、リズムマシンのミキシングによる音色の加工や変化などを再現したブレイクビーツを一人で作り上げたり、動物の鳴き声、風の音、機械の作動音などの様々な直接的模倣音を使い、何らかのストーリー性を感じさせる演奏をグループでおこなったりする例が多く見られる。また、これらの演奏に歌やセリフなどの言語音がそのまま加えられることもある。一般的には、DJが用いる「ビートボックス」と呼ばれるリズムマシンによる音を人間の声で模倣したことに由来すると言われているヒューマンビートボックスであるが、日進月歩でその表現技法は発展を遂げており、単なる模倣の文化から、独自の音楽表現の領域として欧米諸国ではその概念が確立されつつある。
これらの音の信号のやりとりを聞いていると、現代と一万数千年前がシンクロし、自然音と機械音もシンクロし、狩猟採集文明と現代の情報文明が混ざってくるような感覚を覚えます。聴いているうちに非言語脳の方が優位になってくるような感覚もあり、このような発声には、言語脳を黙らせる、そんな効果もあるのでしょうか。