ウクレレの魅力

「跳ねるノミ(=ウクレレ)」と呼ばれたときの楽器は5度高い調弦だったという話

1879年にポルトガル領マデイラ島からの移民船レーベンスクラグ号がハワイに到着し、マデイラ移民が弾いた小さな4弦楽器ブラギーニャの音や弾き方から、「跳ねるノミ」という意味の「ウクレレ」の名前が生まれたと言われています。この話は有名ですが、その時ハワイの町に響いたブラギーニャの音色は、現在のウクレレより5度高かったということはあまり語られていません。

ブラギーニャの調弦は4弦から1弦まで順にDGBDが一般です。現在のウクレレよりも、4・3・2弦は5度高く、1弦のみ4度高いという調弦で、それはこんな高音の輝くような響きになります。☟

確かにこんな高い音でラスゲアードでかき鳴らすと、「跳ねるノミ」というイメージに近づく感じがありますね。

マデイラ島では、こういうラスゲアードで元気に弾く弾き方のほか、メロディを明るく穏やかに品よく奏でる感じのレパートリーが沢山あったそうです。それはこの5度高い調弦にとてもよくマッチしています。☟

このDGBDだとウクレレと運指が変わってしまい、ウクレレ経験者もちょっと戸惑ってしまいます。そこで一十舎では全部の弦を5度高いDGBEに調弦したクイントピッチウクレレを作りました。こうすると、ウクレレの運指と全く同じ弾き方で、5度高い響きを楽しむことができます。おまけに、現代のギターの1弦から4弦の丁度1オクターブ上の調弦になるので、ギター経験者も抵抗なく入ることができます。そしてさらに調べてみると、このDGBEの調弦は、1840年代の古いブラギーニャの調弦法にも存在したことがわかりました。

というわけで、クイントピッチというのはいろんな意味で可能性の大きい調弦だと思います。

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