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「杉」のウクレレはどうだろう 日本全国杉産地

屋久杉を使ったウクレレやルネサンスギターを何本か製作してみた結果、「杉の楽器もなかなか良い」という実感を得ているので、日本各地にはどんな杉があるのか、ざっと調べてみました。以下、北海道から順次南へ。

・月形杉(つきがたすぎ) 北海道樺戸郡月形町

・道南杉(どうなんすぎ) 北海道渡島檜山地方

・鰺ヶ沢杉(あじがさわすぎ) 青森県西津軽郡鰺ガ沢町

・気仙杉(けせんすぎ) 岩手県気仙郡・下閉伊郡南部地方

・鶯宿杉(おうしゅくすぎ) 岩手県岩手郡雫石町

・栗駒杉(くりこますぎ) 宮城県栗駒山麓

・牧の崎杉(まきのさきすぎ) 宮城県石巻市牧の崎

・秋田杉(あきたすぎ) 秋田県の県北、特に米代川流域一帯。雄物川、子吉川流域、青森県西南部一帯

・桃洞杉(とうどうすぎ) 秋田県北秋田郡阿仁町、森吉町森吉山の標高800〜900mの地帯

・鳥海群杉(ちょうかいむらすぎ) 秋田県由利郡矢島町、鳥海村一帯、鳥海山山麓の標高600〜650m付近

・西山杉(にしやますぎ) 山形県西村山郡一帯、大江町七軒地区を中心に西川町間沢、朝日町一ッ沢へと伸びた区域/奥羽山系の出羽丘陵

・金山杉(かねやますぎ) 山形県最上郡金山町一帯

・山の内杉・土湯杉・八千代杉(やまのうちすぎ・つちゆすぎ・やちよすぎ) 山形県最上郡戸沢村

・日光杉(にっこうすぎ) 栃木県日光市の日光山内および日光市・今市市・鹿沼市周辺

・八溝杉(やみぞすぎ) 栃木県東部黒羽町周辺から、茨城県大子町・里美村にかけての八溝山系一帯

・西川杉(にしかわすぎ) 埼玉県飯能市周辺

・山武杉(さんぶすぎ) 千葉県東部山武地方

・青梅杉(おうめすぎ) 青梅市近辺奥多摩一帯

・天城杉(あまぎすぎ) 伊豆半島の天城山周辺に生育する杉の総称、またはその地域を代表する巨木を指すことが多い

・越後杉・越後杉ブランド認証材(えちごすぎぶらんどにんしょうざい) 新潟県内で生産された杉材、その中でも、含有率・強度・寸法など、県が定めた厳しい基準の認証規定をクリアした高性能・高品質の建材がブランド認証材

・立山杉(たてやますぎ) 富山県東部地域

・足羽杉・河和田杉(あすわすぎ・かわだすぎ) 福井県美山町・鯖江市など

・根羽杉・遠山杉(ねばすぎ・とおやますぎ) 長野県下伊那郡根羽村・南信濃村

・長良杉(ながらすぎ) 岐阜県都上郡および武儀(むぎ)郡長良川流域

・天竜杉(てんりゅうすぎ) 静岡県天竜市、磐田郡水窪(みさくぼ)町・佐久間町・龍山(たつやま)村、周智郡春野町

・三河杉(みかわすぎ) 愛知県東方の三河地方、愛知県南設楽郡・北設楽郡・新城市・東加茂郡・額田郡

・御山杉(みやますぎ) 三重県伊勢市の内宮・外宮および滝原宮の「神域」

・尾鷲杉(おわせすぎ) 三重県尾鷲市 熊野杉の名で出ることもある

・谷口杉(たにぐちすぎ) 滋賀県浅井町谷口

・北山杉(きたやますぎ) 別名芦生杉(あしうすぎ) 京都市北区中川地区を中心とした北山地方、隣接する京北町以北で生産されるものは丹波材として区別される

・宇治田原杉(うじたわらすぎ) 京都市の南方、宇治田原町一帯

・河内杉(かわちすぎ) 大阪府河内地方

・熊野杉(くまのすぎ) 和歌山県熊野川河口の新宮を輸送拠点とする杉材の総称。主な産地は奈良県吉野郡上北山村、下北山村を含む北山郷

・春日杉(かすがすぎ) 奈良市東方、春日大社境内および春日山一帯に植林された枯損老大木の杉

・吉野杉(よしのすぎ) 奈良県吉野郡の吉野川上流。吉野林業地帯(川上村、東吉野村、黒滝村)を中心とする一帯

・若桜杉(わかさすぎ) 鳥取県東部の若桜(わかさ)町一帯

・智頭杉(ちづすぎ) 鳥取県東南部の智頭町一帯

・木頭杉(きとうすぎ) 徳島県西南部の那賀郡・海部郡

・久万杉(くますぎ) 愛媛県中部(仁淀川流域の久万高原町と肱川上流の小田町の一部を合わせた林業地域)

・魚梁瀬杉(やなせすぎ) 高知県東部の馬路村・東洋町を中心とした一帯。土佐杉ともいわれる

・八女杉(やめすぎ) 福岡県八女郡一円

・市房杉(いちふさすぎ) 熊本県水上村の市房神社の神社林およびその周辺一帯

・小国杉(おぐにすぎ) 熊本県阿蘇郡中国地方

・日田杉(ひたすぎ) 大分県日田市を中心とした一帯

・飫肥杉(おびすぎ) 宮崎県日南市を中心とした飫肥地方一帯

・霧島杉(きりしますぎ) 鹿児島県霧島町の霧島神宮の神宮林
広くは、狭野杉をはじめ七する霧島山系全体や、南九州全体に産するものを総称することもある

・屋久杉(やくすぎ) 鹿児島県屋久島(屋久町・上屋久町)薩摩杉(さつますぎ)ともいう

有名なところは大体こんなところですが、ほかにもあるだろうと思います。太平洋側から四国、九州に分布するものをオモテスギ(表杉)、日本海側から北陸・山陰地方に分布するものをウラスギ(裏杉)と呼び、材質に違いがあると言われています。杉の学名はCryptomeria japonicaですが、その名が示すとおり、杉は日本特有の種です(日本固有種とも言われるが、中国南部にも自生しているものがあるとも言う)。その同じ種が生育地の気候風土によって様々な性質を帯びて多様な銘木になるわけです。杉の歴史は古く、古事記や日本書紀に出てくる出雲大社の巨大神殿を支えた宮柱は杉で作られていたという話です。こんなに多様で、豊富で、日本の歴史と暮らしに密着した杉ですから、日本的楽器材としての杉の可能性を探ってみる価値は十分にあるのではないかと思うしだいです。

全部屋久杉製。左からビウエラ、ルネサンスギター(大小)、ルネサンスギター風ウクレレ↓

参考

森林・林業学習館 ・「森林で日本は蘇る」 白井裕子著 など

 

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