写真は木曽五木のひとつ、「木曽さわら」で表板を作ったルネサンスギターです。軽快で明るく、かつ優しく素朴な音になりました。
さわらは、ヒノキ科ヒノキ属に属し、要するにヒノキの一種なのですが、木曽ひのきと木曽さわらは、生育環境も性質も少し異なるそうで、木曽ひのきは山の中腹以上の乾燥したところに育ち、木曽さわらは谷間の方の湿ったところに育つそうです。その生育環境のせいかか、木曽さわらは水や湿気に強く、樽、桶、おひつなどに使用されます。
楽器用材としては木曽さわらを使うという話は聞かないですが、木目は緻密で柔軟性があり、ルネサンスギターのような素朴な楽器にはよいのではないかと前から思っていました。作ってみた結果は、素朴な音になりました。
昔、「性格のよい娘さんたちが摘んだ茶葉を使用」みたいなことを言うウーロン茶のコマーシャルがあったように思うのですか、木曽さわらのルネサンスギターを弾いていると、ルネサンス頃のヨーロッパの性格の良い娘さんたちが輪になって踊っている場面がなぜか頭をよぎるのです。
まあ、そんな音です。
そんな説明ではわからないですかね。( *´艸`)
まあ、よいでしょう。
市販のギター用材を使うとギター的なよい音になりますが、逆に言うと、こういう素朴な音は出せないでしょう。木曽さわらのような日常材だからこその音かもしれません。
良い音とは何か…ということを考えなおすのもよいかもしれません。コンサートで演奏することだけが音楽の最終目標ではありませんから、良い音というのは非常に多様なのだと思います。場面によって、人によって、いろんなよい音があってもよいでしょう。
この木曽さわらのルネサンスギターは、性格のよい娘さんと性格のよい息子さん?とがダンスをするのによい音じゃあないかと思います。