最近話題の528Hz音楽のリラックス効果について、順天堂大学大学院医学研究科で行われた比較実験の論文がこちら。
この実験は、「528Hzの音楽が内分泌系システムと自律神経にもたらすストレス軽減効果」をテーマにして、被験者9人に440Hz音楽と528Hz音楽を聴いてもらって、主観客観両面の各種効果を比較検討した結果、「本研究の結果は、聴いているのが短い時間でも528 Hz音楽はストレス軽減効果があると示唆している」と結論付けました。
そこで気になるのが、そもそも528Hz音楽って何だろうと、ということなんですが、この論文では次のように定義の説明をしています。
「通常音楽の世界では440Hzがチューニングの基準であり、これが国際標準化機構で定められた国際標準ピッチである(以下、440Hz音楽と呼ぶ)。この音階では528Hzの音が存在しない。しかし、基準を444Hzに設定することで528Hzの音が音階に含まれることになる。このように調和、または作曲された音楽を本論文では528Hz音楽と呼ぶ。」
若干補足しますと、現代の国際標準では、Aの音(ラの音)=440Hzとして音階を決めており、その結果、ド=261.63Hz、レ=293.67Hz、ミ=329.63Hz、ファ=349.23Hz、ソ=392.00Hz、ラ =440.00Hz、シ=493.88Hz、ド=523.23Hzというのが、現在のドレミファソラシドの周波数構成になっています。このピッチを少し上げて、A(ラ)=444Hzにすると、ド=264.01Hz、レ=296.34Hz、ミ=332.63Hz、ファ=352.40Hz、ソ=395.56Hz、ラ=444.00Hz、シ=498.37Hz、ド=527.99Hzが、ドレミファソラシドという計算になり、そうすると確かに高いドがほぼ528Hzになるわけです。
このA=444Hzの音階で、高いドの528Hzを含むよう調和又は作曲された音楽を「528Hz音楽」とこの論文は定義しているわけです。
実験で使用された曲が、どの程度の頻度で528Hzを含むように作られ、それがどんなふうに調和しているのか、論文中には明示されていません。そこは企業秘密的なことなのかもしれませんが、その点を明確にすると、曲中の周波数変化に応じたより緻密な分析が可能になることでしょう。
少し視点を変えて色彩(光の周波数)の世界を見ると、暖色系と寒色系では心理的な効果が異なったり、オレンジ色は食欲をそそったりと、周波数によって様々な効果があることが知られているわけですから、音の世界でも周波数ごとに異なる個性と効果を持つ可能性はあってもよさそうに思います。