写真は、今製作中のウスレレです。
一十舎がウスレレを作っているのは、ウスレレが作る音に惹かれているからです。
それは一言でいえば、シンプルなハーモニーの美しさ 。
先日お買い上げのお客様が、「余計な音がしない清々しい音色」と言われたこととも通じます。
友人がチューナーで音を合わせながら、「チューナーの針があまり揺れないのでチューニングがしやすい」と言ったことにも通じるかもしれません。
ボディ厚が厚くなると、音の反響が複雑になるのかでしょうか。その結果、音の構成要素が増えるのでしょう。それはそれでおもしろく魅力的なことですが、ウスレレの魅力は、複雑さをはぎ取ったときの、シンプルな美しさだと思うのです。清々しい という言葉がよく似合う美しさです。
音がクリアで、弦と木が織り成す音がそのままに響きます。複数の弦が作るハーモニーが、そのままに美しいのです。
ウスレレは、ウクレレとは別種の楽器のように感じることすらあります。音の美しさに求めるベクトルが逆方向のような気がすることがあるのです。
古楽器の世界は、シンプルさの美しさを保っていたように思えるのですが、それがいつしか、複雑な音構成の美しさを求める方向に進んできて、ウクレレはシンプルさと複雑さの境界線にもまれながら、複雑さの方向にかなり巻き込まれてきているように思えます。一十舎のウスレレは、音楽世界がシンプルさの美しさに戻ろうとしている、そんな流れのひとつのような気がしているのです。