先日知り合った方にウクレレを一曲弾いて聞かせる機会がありました。生まれてはじめてウクレレを間近で聞いたというその方は、
「こんなに穏やかでやさしい音なんですね~。チャカチャカしたおもちゃみたいなのがウクレレの音だと思ってたのに全然ちがいました」
とおっしゃいました。
チャカチャカしたおもちゃみたいな音というのは一般的なウクレレのイメージのひとつかもしれないですね。日本でウクレレを広めた開拓者の方々は、牧信二や高木ブーなどお笑いの世界の人たちだったことも、そのイメージを強めたかもしれません。ウクレレが笑いとともにあったのは幸せなことでしたが、お笑いの一部のようなイメージと結びついたのは功罪半ばという面もあったでしょう。牧信二も高木ブーもハイレベルのウクレレ奏者なのですが、そのハイレベルを前面に出さずに軽みとして表現する芸の世界だったわけです。
最近は逆にジェイクシマブクロのような超絶技巧ウクレレのイメージというのも生まれていますね。超絶技巧を披露する動画がどんどん生まれていて、すごい人がたくさん出てきています。こちらは、ハイレベルを前面に押し出して人をうならせる、普通の人にはなかなかまねのできない音世界です。
私の中から出てくるウクレレの音イメージは、お笑いとも超絶技巧ともまた別の側面を感じていて、「こんなに穏やかでやさしい音なんですね~」とおっしゃっていた、まさにそんな音世界です。聞く人にとっても弾く人にとってもやさしいのがいいと思っています。誰でも簡単に弾けて、そのまま奏者も聴く人も穏やかな気分になってしまうという、そんな自然音の良さみたいな感じがウクレレの音世界が魅力かなと思っています。