写真は、イタリアのアクイラ社から出ているナイルガット弦です。
ナイルガット弦とは、羊の腸を撚ったガット弦の味わいを再現しようとして現代の技術で作られた新しい弦です。
昔の西洋の弦楽器は大抵羊の腸のガット弦でした。ギター、リュート、ハープ、バイオリンなど、みんなガット弦が使われていました。羊の腸の内容物を取って薄膜にしたものをより合わせるとガット弦になります。ちなみに羊の腸の薄膜に香草とひき肉を詰め込むとソーセージになります。
弦楽器全般に普及していたガット弦ですが、化学的にナイロン弦が作られるようになると、いろんな弦楽器の弦がみんなナイロン弦に移行していきました。ナイロンの安定した大きな響き、チューニングのしやすさ、大量に安価に生産できることなどに、ガット弦は太刀打ちできなかったんですね。現代ではガット弦は古楽器などのために少量生産されているだけです。
しかしガット弦には古楽器特有の素朴な味わいがあり、それをもっと手軽に使ってみたいと思う人は結構いるわけです。そこでガット弦の扱いにくさを克服しながら、ガット弦の味わいを今に再現しようとしてナイルガット弦というものが生まれてきたわけです。
一十舎のウクレレにも、そのうちナイルガット弦を試してみたいと思っています。古楽器の響きはウクレレのような小さな楽器には合うんじゃないかなと思います。
それにしても昔の人はどうして羊の腸を弦の素材に選んだんでしょう。
西洋のおかみさんがソーセージを作ろうとして羊の腸の薄膜を手で伸ばしてるときに、子供がふざけてはじいたらビヨーンって音がして、それを聞いていた隣のお兄さんが「弦はこれだ!」って思ったんですかね。(^^♪
ちなみに琵琶や三味線の弦は絹糸で、モンゴルの馬頭琴の弦は馬のしっぽの毛だそうです。
土地柄で弦の素材は変わるんですね。その土地の生活になじんでいるものが、そのままその土地の弦になるようです。(^^)/